初恋の恵美ちゃんの首がある朝いきなり吹き飛んだんだけど。



7:サヨナラ(1/6)




その頃。


2階、音楽室前。


只野「うおおおおおおおおお!!死ぬ!!マジで死ぬぅ!!」


矢田「黙って走れアホ!!足立を背負ってる俺の身にもなれ!」


足立「だからゴメンってばぁ!!ダイエットするから!!」


加地「くそっ....!!意外と足速ぇな、あの野郎」


只今、絶賛追いかけられ中。



『お前らー。先生を困らせるんじゃないぞー』



ーーーーーーーヒュン!


矢田「おい!チョークだ!!しゃがめっ!」


健吾の合図で頭を下げると

ヒュッと風を斬る音が聞こえた。


只野「・・・・・・・・っ」


健吾の合図がもう少し遅れてたら....。


嫌な汗が俺の背中を伝う。



矢田「はぁ...はぁ...。・・・・くっそ」


只野「ーーーーーーーーーっ」


健吾は疲労していた。


俺から見ても一発でわかる程に。


そりゃそうだ。


女性一人背負って廊下を全力疾走だぞ?


今までの課題を全て乗り越えてきたんだ。


限界なんてとっくに超えているはずだった。


只野「健吾。やっぱり俺が代わりに....」


矢田「バーカ。まだまだ平気だっつーの」


そう言って笑う健吾の頬を一筋の汗が伝う。


足立「もう....いいよ」


矢田「・・・・・・あ?」


足立「もういいから。私の事は降ろして....先に....」



矢田「・・・・アホか。仲間だろうが。気にすんな」



その言葉に足立は健吾の制服をキュッと握った。



加地「・・・・・・・・・・・」


と。


加地さんが突然足を止めた。


只野「ちょ....加地さん。何やってんですか。アイツが来ますよ!」


加地「・・・・・・・・・・・」


只野「加地さん?ねぇ....加地さん!聞いてます?」



俺の呼びかけに返答しない加地さんは


その代わりに無言でスーツを脱ぎ俺に手渡した。



只野「・・・・え?加地さん.....?これ....」



加地「・・・・・誰かが止めないと、終わらねぇだろ」


只野「・・・・・っ!!加地さん?馬鹿なこと考えるのはやめて下さいよ?」



矢田「・・・・・加地さん。あなた、まさか....」



こちらを振り向かないままタバコに火を着ける加地さんを見て


俺達は全てを察した。




闘う気だ、アイツと。



足立「加地さん!!ダメだよ!!アイツは人間じゃ敵わない!!」


だが、俺達が止めても加地さんの足は止まらず


振り返ると小さく微笑んだ。



加地「お前らは....俺にとって教え子みたいなもんだ。これでも"元"塾の講師だからなぁ」


只野「・・・・・・・加地さん」



加地「・・・・今度はもう教え子を"見捨てねぇ"」





フーっと煙を吐き出し

目の前でチョークを握り締める奥田先生と対峙する。



加地「・・・俺も昔は教える立場に居たんだ。ゆっくり語り合いましょうや、奥田先生」



『先生の言う事を聞かない生徒は......死刑だ』




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