初恋の恵美ちゃんの首がある朝いきなり吹き飛んだんだけど。



4:オウサマ(1/6)




ーーーその頃。


矢田 健吾side。



矢田「・・・・・・・・とりあえず」


この『恵美ちゃんの日記』とやらは

光輝達と合流してから考えよう。


まずは....キングを見つける事が先だ。




広い校内。


俺の予想が正しければ

クイーンの時の様な馬鹿でかいトランプの姿だろう。

あのサイズなら隠れる場所なんて無いハズなんだけどな....。




と。


矢田「・・・・・・・・・・・・ん?」


少し先に何やら小さな影が見えた。


どうやら廊下の隅にしゃがみ込んでいる様だ。


矢田「・・・・・・・・大丈夫か?」


近付いて声をかけてみると


その正体は小さな男の子だった。


灰色のパーカーを着た、栗色の髪の少年。


矢田「えっ....と。何....してるの?」


健吾が尋ねると


「・・・・・・・・お兄ちゃん」


少年はゆっくりと振り返った。



泣いているのかと思ったが

その表情はまるで氷の様に冷たくて。



矢田「怪我してないか?名前は?何でこんな場所に?」


正直、小さい子はあまり好きではない。

話すのが苦手なのだ。


「ねぇ、お兄ちゃん」


矢田「ん?何?」



少年は、表情を変えずに、静かに尋ねた。



「・・・・キングって知ってる?」


矢田「え?キング.......?」
















ドスッ

















矢田「・・・・・・・・・・・・?」



・・・・・・・・・・・・え?


何だよ.....今の鈍い音......。



矢田「・・・・・・・・おい」


腹部に伝わる硬い感触。


ポタポタと廊下に滴る赤い液体。



そして。




少年が握り締めている、鋭い剣。



矢田「おま.....え........」


瞳が霞む。


唇が渇く。


手足が震える。




健吾の意識が途切れる直前。


その少年は微かに笑った。






「・・・・僕が、キングだ」




何も知らない愚かな子羊は


群れから外れ、狼に喰べられる。




生き残るのは



真実を知る者だけ。




- 33 -

前n[*][#]次n

/79 n


しおりを挟む




⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

モドル