珈琲にはとびっきりのお砂糖を。
無糖か微糖か(1/6)







藤倉 理乃(フジクラ リノ)、16歳。


現在128分。

非常に迷っております。



「うーーーーーーむむむむ」


「さっさと決めろよ」



横から口を出すのは竹倉 昴(タケクラ スバル)、同じく16歳。

私の幼馴染であり、元彼であり、好きな人である。


元彼なのに今も好きというのはちょっとした理由がある。



付き合っていたのは中学の頃の一時期だけで、このことを高校の友達は誰も知らない。

昴はもう私のことを好きじゃないし、私が昴を好きでいることも誰にも話していない。

そしてこの先私が昴に好きだと伝えることもない。



私は昴を幸せに出来ないから。



「本当優柔不断だよな、もう高校生なんだしいい加減直せよ」


「うるさいなー関係ないじゃん、あっち行ってろ」


「おまけに口が悪い、それでも女かよ」


「喧嘩売ってんの?」



キッと睨み付けても昴は怯む素振りを見せない。



「つーかさっさと決めろよ、珈琲ぐらい」



そう、現在私達が通う学校の自動販売機の前。


私、藤倉理乃は根っからの珈琲大好き人間。

そしてまさに今、微糖を買うか無糖を買うか超絶悩んでいるわけです。



「いつもブラック派なんだけど、たまに微糖が飲みたくなるんだよねー」


「どーでもいいわ、つーか微糖もブラックも変わんねぇだろ」


「いやいや全然違うからね?」


「どっちも苦ぇ」



昴は珈琲は好きじゃないらしく、実際飲んでるところをあまり見たことがない。


と言うか記憶に残っている内では一度も見たことがない。





-1-

← 戻る | 進む →

/352 n

しおりを挟む

⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

戻る