光を纏った僕等
[八](2/12)
初めて人を本気で殴った。
真っ赤かのぱんぱんに腫れた頬。
綺麗な顔を汚してしまった罪悪感と、
今までの怒りで“そいつ”から目を逸らした。
“そいつ”は何も言わず、
俺と目を合わせることもなかった。
手がジンジンして、痛かったけれど。
「…君は、確か理央君だよね?」
酷く脱力した顔で、掠れた声が俺に問いかけた。
その瞳に色はなかったし、
その表情からは何も読み取れなかった。
「突然殴るなんて、
斬新な挨拶だね。」
ゆったりとした物腰。
彼の髪が太陽に当たり、キラキラと輝いた。
「呼び出したのには理由がある。」
突然殴った事は、悪かった。
しかし、美咲の命が絶たれようとしていた状況を作ったこいつを、野放しにしては置けない。
昨日、美咲に全てを聞いた。
浩二君の日記を見つけ、それと同じ場所にあった女物の指輪。
その日記が、裏切られた、という示唆を与える内容だったということ。
浩二君を裏切ったのが、
美咲の友人甲斐だったと言うこと。
それらの理由から、
美咲は狂ったように線路に飛び出そうとした。
「……てめぇが、
浩二君にした事は分かってる。
美咲も気づいてる。
……これ以上あいつに近づかないでくれ。
もう美咲を悩ませないでくれ。」
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