遅すぎた真実のエピローグ
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林が仮眠しに行ってから、既に二時間近く経過していた。 相変わらず清子は、気持ち良さそうにスヤスヤと眠っている。
そんな清子を見ているうちに、さすがの美智子も徐々にうとうとし始めていた。

「本当に、気持ち良さそうに寝てるわね‥。 清子を見てると、なんだか私まで眠くなってくるわ‥‥‥。 ハァ〜 ハ〜ッ〜 ハァー〜ッ。」

「美智子さん。 遠慮なさらずに休まれて下さい。」

大きな口を開けて欠伸をする美智子を見て、百合が心配そうに声を掛ける。

「ありがとう、百合ちゃん。 でも大丈夫よ。」

と、百合にニコッと笑って見せた美智子だが、かなり眠そうな顔をしていた。

「美智子君。 無理をしちゃいかんぞ。 大分疲れている顔をしているぞ。」

白石が言うように、美智子は大分疲れているように見えた。 
美智子が現役の刑事の頃、無理をし過ぎたのが原因で、本当に倒れた事が一度だけあった。
その事を知っている白石だからこそ、美智子が心配で堪らなかったのだ。

でも、もう一つ白石は知っている。 

美智子は、筋金入りの頑固者だという事を。

「はい、ありがとう白石さん。 私、眠気覚ましに、ちょっとだけ院内を散歩して、顔を洗って来ますね。」

そう言って、白石に会釈をした美智子は、足早に病室から出て行った。
白石は、そんな美智子の背中を見送りながら、ただ溜め息をつくだけだった。

そして百合も、

「美智子さん‥‥‥」

と、呟きながら、美智子が足早に出て行ったドアを見つめ、心配そうにしている。 そんな百合に、白石がニコッと笑って声を掛けた。

「頑固者の心配性だからね、美智子君は。 でも、無理をする美智子君を見ているこっちの方が、もっと心配になるよね? 睡眠薬でも飲ませて、強引に美智子君を休ませるかい?」

「刑事さん、それより、美智子さんを睡眠不足の罪で逮捕してくれませんか?」

「そりゃあ傑作だな。 アハハハハ!」

だがその時、笑っているのは白石だけだった。 百合は、今にも泣き出しそうな顔をしている。
そんな百合を見て、白石は優しく微笑んだ。



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