青色の声
 
[2回目の秋](1/24)
 
「あおー起きてる?」

両腕に検査器具をつながれ点滴をするあおは
手を動かすことができず、
小さく声を出しました。



「動きづらそうだね 調子は?」



隈をつくるあおの顔から
なかなか寝れていないことが分かります。

ペンを持つことはできたので、
あおが寝ているベッドに向き合って座り
メモとペンを渡しました。

「なんかほしいものある?」

『いろ 笑』

「私も、寂しいから
このまま連れて帰っちゃおうかなー 笑」

笑うあおはいつものあおに見えましたが
大きな目を細めるとやっぱり隈が目立ちました。

私の手話に対して返事をメモに書いて
私に見せるあお。

効率は悪くて、遅くて、不便で
言いたいことの半分も言えませんでしたが
言葉を共有するのには充分でした。



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