[アールグレイの記憶](1/52)
先輩が出て行った部屋にひとり残されて、私はとりあえず紅茶を入れた。
先輩が部屋に置いてある紅茶は私の昔から好きな銘柄と同じものだった。
昔から私は紅茶が大好きで、特にアールグレイが大好きだった。
そんな偶然の一致が、なんか悔しい。
ひとりで温かい紅茶を飲んでいると自然と悲しみは薄れてきた。そういえば、昨日もそうだったな。
泣きそうになっていたら先輩が紅茶をいれてくれて。
・・・そういえば、
私もいつからか、悲しい事や辛い事があったときには紅茶を入れてた。
友達と喧嘩した時とか、部活で結果を出せなかった時、テストの点が悪かったとき・・・
いつもアールグレイを飲んでた。
すると自然と涙が止まるから。
クセみたいに自然にしていたけど、あれって何がきっかけだったんだっけ???
小さい頃はそんな事なかったと思うけど・・・
何かきっかけがあった気がするけど、思い出せない。
記憶にボンヤリと影がかかっていて、あと少しで思い出せそうなのに思い出せない感じ。
・・・・・。
んーーーーー
ま、いっか。
それにしても、凄い量の資料。
私は紅茶を飲み終わると作業に取り掛かった。
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