意地悪な君に

[生徒会室にて](1/11)
「な・・・な・・・・」

フルフルと肩が震える。
もちろん、怒りで。


「さっきのは・・・落ち込んでたんじゃ・・・」


「あ?んなわけなーだろ。アンタちょろいな。すぐ騙されてんの。」


さっきまでの悲しい表情は消え去り、
最初の印象通りの意地悪な雰囲気だけが残った。


「それくらいで落ち込むかよ。あ、でも助けようとしたのは事実だから」


「だとしても・・・!」


ガラッ

その時、扉が開いて、誰かが入ってきた。

「いた!!悠!!なにしてんだよーーー!」


入ってきた人は、隣にいる私に気付き、

「あ、さっきの!」

と言った。


一拍遅れて私も気付く。
さっき、トイレの場所教えてくれたイケメンだ!


「あのっ、さっきは、ありがとうございました!!」


私は立ち上がり、満面の笑みでお礼を言う。


「オイコラ、俺にはあんな態度のくせに、この違いはなんだ」


となりで悪態つく男は無視する。
爽やか先輩も無視してるし、こういう人なのかな。


「いえいえ。僕は木下一樹、宜しくね。」

「はいっ。佐伯美晴です。」


ぶすっとした顔で

「俺、まだ名前聞ーてないのに・・・」

と男がつぶやいていた事を、私は知らない。

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