坂下くんは、きれいなきれいなおとこのこだった。
「せんせー。坂下くんがいません」
そして彼にはサボりぐせがあった。
「……またか」
「あいついつもどこ行ってんだ?」
その先生の問いに、みんなは首をひねる。
ひねって、「知ってる?」と
友達と言い合って
「知らない」と言って、笑い合う。
私もそう。その仲間。
……けれど私は
ほんとうは彼がどこにいるのか知っている。
だって、私は、坂下くんが。
「……先生、気分がわるいです。ほけんしつ、行ってきます」