口止め料
坂下くん(1/10)












坂下くんは、きれいなきれいなおとこのこだった。




「せんせー。坂下くんがいません」




そして彼にはサボりぐせがあった。




「……またか」

「あいついつもどこ行ってんだ?」




その先生の問いに、みんなは首をひねる。


ひねって、「知ってる?」と
友達と言い合って

「知らない」と言って、笑い合う。



私もそう。その仲間。


……けれど私は

ほんとうは彼がどこにいるのか知っている。



だって、私は、坂下くんが。




「……先生、気分がわるいです。ほけんしつ、行ってきます」




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