ロスト・マジック
[崩落](1/8)
ミンミルは漁業や商業が盛んな国だ。国境の東側には大きな川があり、西側の国境には壁を建設し、敵国との交戦を避ける様な作りになっている。
ミンミルの国王、ランペオ・シュリーガンは二つの異名がある。
一つは戦嫌い。そしてもう一つは…
王宮に招かれざる客が現れる。
秘書のドルーは客を案内していた。
ドルー「まさか帝国の使いの方がミンミルまで足を運ばれるとは驚きました」
世界は今、巨大帝国のシン王政が世界を統一への道へ覇道を進めているのだ。だが帝国領内は高い税金と理不尽な貧富の差、兵士が威張れる環境、そして貴族のやりたい放題と国として成り立っている状況ではなかった。
帝国の使い、ガイは鋭い目つきでドルーを睨む。
ガイ「貴様らの王が無血開城を望まない。返事をしないから私が送られたのだ。立場を考えていただきたいな。ミンミルの様な国、帝国の武力なら一瞬にして灰になるだろう」
ドルーが身震いするほどの迫力がガイにはあった。王の間に案内するとドルーはミンミル王、ランペオに耳打ちする。
ドルー「どうやら無血開城の件みたいで…」
ランペオ「使いの者よ。すまない遠路はるばる。こちらも忙しくてな。帝国からの文書に手も触れておらなかったわ」
ガイ「皇帝印を押されている文書に手をつけぬとは…ランペオ殿は王の器ではありませんな」
ランペオ「おおよく言われるぞ。今でこそマシになった方なのだがな」
ガイの拳を握る力が強くなる。
ガイ「ならば口頭で伝えましょう。ミンミルは帝国と隣接した国であり、皇帝は一早い世界統一のために帝国に降れと申しております。慈悲深い皇帝ですから戦争はせず、ミンミル王の降伏による無血開城を望んでおられます」
ランペオ「嫌じゃ」
王の間が静まり返った。
ガイ「一応、理由を聞いてもよろしいか?」
ランペオ「民を大切にせぬ皇帝の方が器ではないのではないかね?私はミンミル国王として、我が民、いや我が家族達をクソ皇帝に渡すわけにはいかぬのだよ」
ガイ「ならば仕方ないですが、武力行使ということになりますね。あなたの家族は、あなたが無能なせいで死ぬことになります」
ガイは表情一つ変えずに王の間を後にした。
ランペオ「ドルーよ。息子の避難場所を用意せよ。あとツナに連絡をしておけ」
ガイは外に待たせていた配下の兵士にこう言った。
ガイ「ラ・パーンに連絡だ。金は弾ませるとな」
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