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予定日を過ぎて1週間。
「どんだけひよりの
お腹の中が好きなんだよ、
早くでてこいよー。」
毎日毎日話しかけるしゅんた。


「今、蹴ったよな?
返事したよな?
あー、俺嬉しい!幸せ!」
目を細めてくしゃっと笑う。
見た目ヤンキーのくせに、
笑った顔は子どもみたいにかわいいしゅんた。
あなたの笑顔が私を笑顔にさせる。


「子宮口は3p開いてるし
いつ陣痛来ても
おかしくないんだけどね。
もし明日までに赤ちゃん
産まれなかったら明後日
促進剤使いましょう。」
妊婦検診を終え明後日には
赤ちゃんに会えるんだって
私はウキウキしていた。


「明後日促進剤だって。
やっと会えるね、赤ちゃんに。」


「え?明後日?」


「うん。
今日の検診で決まったよ。」


「明日にして?」


「無理でしょ、なんで?」


「明後日社長が休みでさ、
現場監督頼まれて絶対休めん。」


「大丈夫だよ、私は。」


「ひよりは俺がいなくても
大丈夫なの?平気なの?」
違うよ、しゅんた。
強がりとかじゃなく私は大丈夫だから。
なぜか赤ちゃんが産まれる前に
絶対しゅんたは病院に駆けつけてくれるって自信があったの。
そりゃ、ずっと横に
しゅんたがいてくれたら、
そんな心強い事はないけど、
私は大丈夫だから。


「大丈夫だよ、仕事頑張って。」


「俺が大丈夫じゃねーよ。
心配で何回も電話しちゃいそう。」


「それは迷惑だからやめて。」


「俺仕事おわったら
そっこー病院行くから。
頑張れよ、ひより。」



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