夕焼けの空の下、私はとぼとぼと歩道を歩いていた。
手には中身が一杯詰まったエコバッグ。
何処からどう見ても、買い物帰りの主夫、である。
そして実際その通りだ。
まぁ、独身なんだけどね。
いつもはこんな時間に買い物に出たりはしないのだが、今日はお嬢様が学校帰りに早乙女琳と図書館で勉強するそうで、帰りが遅くなる為私も夕飯の支度を急がなくて良いのだ。
それ故、いつもより遅い時間に買い物に出た。
でも、ちょっとのんびりし過ぎたかな…。急いで帰った方が良さそうだ。
そう思って歩みを進めようとすると。
前方から、ランドセルを背負った小学生が三人、楽しそうに笑いながら駆けてきた。
私は、思わず足を止めてしまった。
何の話をしているのか、笑い転げながら家に帰る子供達を、私は無意識に目で追っていた。
子供達は私の方など見ようともせず、そのまま曲がり角を曲がっていった。
「…」
…何やってんだろう、私は。
未練がましくガキ共眺めてたってしょうがない。
やっぱり、こんな時間に買い物に出ちゃ駄目だな。見たくない物を見てしまう。
早く帰らないと。
子供達に背を向けて、足早にその場を去ろうとした、そのとき。
「…秋、君?」
…俺は、誰かに声を掛けられた。