探偵みたいな高校生達(19th CASE)
そして‥(1/3)
帰りは警視庁のヘリに乗せてもらい、近くの空港に送ってもらった。
オレ達学生組は向こうに帰ってからの事情聴取ということになった。
空港には仁美さんと葵さん、最上さん、二階堂さんに青嶺さんが見送りに来てくれた。
「ありがとう、永田さん。あなたのおかげで、私達は救われたわ」
仁美さんは頭を深く下げてお礼を言ってきた。
こんなにちゃんとしたお礼を言われるのは初めてだったから、少し照れ臭かった。
「なあ、オレ思っとったんやけど、葵さん‥言うたよな?
あんた、山本に操られとらんかったやろ」
昌也が葵さんに言った。
葵さんは肯定も否定もしなかった。
「オレにはあんたの無表情は仁美さんのとは違って、自分の心をわざと閉ざすことでマインドコントロールを逃れたように思えた。それって――」
「藤井くんって言ったかしら?もういいじゃない。終わったことよ」
葵さんは言って、黒崎さんが連れてきた沖縄県警のとこに先に行った。
「永田さん‥私、工藤さんに言われていたんです。『『ゼウス』のは優しさじゃない。本当のやさしさなら、すぐにキミも触れられる』って。工藤さんの言ってた通りだった。工藤さんの言うやさしさって、永田さんのことだったんですね」
「あの、マジでその辺にして?」
オレ自身、優しくしてるつもりはないし、もちろんこうしたら優しいんだろうな、なんて思ったことない。全部自分勝手にしてることだ。
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