探偵みたいな高校生達(19th CASE)

動機(1/7)


「どうやら‥お前らだけはミスキャストだったみたいだな。高校生なら、事件後にいい証言者になってくれると思ったんだが‥‥残念だ」


山本さんはポケットに手を突っ込み、言った。


「そんな‥山本さん?」


驚きを隠しきれない最上さんをオレは見ることができなかった。
彼女の顔は、何度も見てきた人の顔とは違っていた。


「‥‥‥なぜだ。なぜキミのような若者が、2人を殺したんだ?」


「あんたにはわかんねえよな?大倉知事さんよ。オレは大人に復讐がしてえんだよ!大人全員が!殺したくて殺したくて仕方ねえんだよ!!」


吉川刑事が山本さんを捕まえようと少し足を動かした。
すると、山本さんはポケットから“あるもの”を取り出した。


「動くんじゃねえ!これが何だかわかるか?」


「そ‥それは、オレ達が渡された‥‥」


「そうだ、アポロ。いや、本木。これを押したら、残したセムテックスは起動する。今すぐお前ら、全員ここから出ろ!」


そう言われて、オレ達はしぶしぶ出て行った。

でも‥‥納得がいかない。
彼の言葉と行動の矛盾が、納得できない。

外に出てから、チラッと周りを見回した。
黒崎さんも吉川刑事も相沢刑事も忙しそうだ。誰もオレを見ていない。
今なら‥‥。


「――待てよ、駿一」


「オレらも行くぜ」


オレの腕を掴んだ次郎達。
こいつらはお見通しか。


「よし。―――行こう!」


オレ達は再び中に入った。
真実を知るために。


「‥‥あれ?駿一くんがいない!」


「まさか‥‥またあのホテルに!?」
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