龍と鳳凰の恩返しと、麒麟の慈愛
[―甦る愛しき騎士の記憶と、現れた光と闇の神龍A―](1/22)
瑠璃[え…?

わたし、が…?]


闇の邪神龍[そうだ…お前だ、瑠璃。

忘れたとは言わせんぞ?]


瑠璃[そんな…

あなたは何を言っているの…?
私は何も知らない…
分からない!]


闇の邪神龍[何だと?
ふざけた事を申すなっ!]

と、青年は瑠璃の胸ぐらをガッと掴んだ!


乱暴される!…瞬時にそう思った瑠璃は恐怖からぽろぽろと涙を流した…


瑠璃[本当に、知らないんです…

ごめんなさい…]


闇の邪神龍[くっ…
(奴め、瑠璃の脳裏からあの時の記憶を消したのか…!
余計な事を…っ)

ちっ…]


青年はそう言って瑠璃の胸ぐらを離すと、瑠璃に背を向け…


瑠璃[(い、今のうちに…!)]


瑠璃はそう思い、その場から逃げようとした…!


しかし…


闇の邪神龍[どこへ行く?]

青年がシュッ…!と瑠璃の前に先回りし…!


瑠璃[え…!

あ…その…]


闇の邪神龍[ここは夢の中…出口などない
貴様はどこにも逃げられないぞ?
そして、我が貴様の魂を解放せぬ限り、貴様が眠りから覚める事もない…]


瑠璃[そんな……!]


闇の邪神龍[クククク…

よかろう、その時の事を思い出せぬなら思い出させてやるまでよ…

貴様に我が真の姿を見せようではないか!!]


青年はそう言って体を闇に包み込むと、やがてその姿はみるみるうちに漆黒の鱗を持つ、黄龍よりもさらに巨大な龍の姿へと変貌した!


闇の邪神龍[グオオオオオオ!!]


闇の邪神龍の凶暴な龍の雄叫びが辺りに響き渡り、それは地響きを起こすほどだった…!


瑠璃[あ…ああ……

…っ!]


と、その瞬間、瑠璃は15年前の出来事を思い出した…!


闇の邪神龍『これでトドメだ…!
覚悟しろっ、“光の神龍”!!』


光の神龍『くっ……』


瑠璃『駄目…

やめてええーっ!!』


瑠璃[(そうだわ…!
あの時、神秘の森で光り輝く輪を見つけて、興味本位でそれに手を入れた私はその中に吸い込まれて…気がついたら見知らぬ神秘的な場所に辿り着いていた…!

あれがきっとヴァルハラだったんだ!


そして、私はそこで巨大な2匹の龍が戦っているのを目の当たりにした…

そして、白い龍が黒い龍に追い詰められている所を見て、白い龍がいじめられていると思った見た私はとっさに白い龍のもとへ行き、その龍を庇った…!

あれが“光の神龍”だったんだ!)]

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