奇妙で奇怪なファンタジーな創話
4[☆幼稚園☆](1/3)

引っ越しの整理をしていると、一冊の本を見つけた。

「新訳聖書」

と、書かれ裏表紙には園長先生の手書きの文字と幼稚園の角印が朱色で捺されていた。

手書き文字には、微かに水で擦れたような跡…


『あっ、印刷じゃないかと唾をつけて擦った跡だ』


「まだ幼稚園あるのかなぁ?」



曜子はすぐにネットで検索してみた。


○○幼稚園 電話…


早速 電話してみた。


「お客様がおかけに…」


時間というのは無情なものだ…


「もう閉園したんだ!」



途端に、物凄い勢いで、当時の記憶がフラッシュバックした。



曜子には、前科があった。

不良外国人から覚醒剤を教えられ、一時は地獄の底に転落したのだ。


シャブを絶ち、まだ数年…薬物をやっていた時の場所、聞いていた音楽、匂いや臭い…些細なきっかけが引き金となり、容赦なくフラッシュバックが襲う。


曜子は悪循環の環境を断ち切って新天地にいる。


相棒は、ネコ一匹…シャブ中時代を知っているのは、飼い猫のジュリーだけだ。


幼稚園時代の聖書を見て、無性に行きたくなってしまった…むろん、跡形も無いだろうけど。





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