〜欠落者と○○〜
★[歓迎会編(前)](1/6)


「じゃあ次は歓迎会で生徒会がやる出し物についての話し合いよ」

 歓迎会とは名ばかりで、実際はただのお祭り騒ぎだったりする。
二、三年は各クラスや各部活ごとに模擬店などを開くことになっている。
例えば、野球部はストラックアウト、茶道部ならば和服の着付けや、和菓子の販売などだ。
もちろん生徒会でも何かやらなければならない。

「何かいいのないかなぁ〜?」

 タレパンダはそう言って考えているようだけど、今回は私が既にあるコトを考えている。

「一つだけ私に案があるの」

 ちょっと自信があるのよね……

「なになに〜?」

「喫茶店をやろうと思ってるの」

 私の言葉に橙希はピクリと反応した。
思っていることがばれたのだろう。

「喫茶店?」

 タレパンダがよくわからない変な顔をして私に聞いてきた。

「喫茶店よ。橙希は洋菓子つくりが上手いし、私だって和菓子なら作れる。それにね、ここにはいない二人は軽食が作れるのよ。まぁ、タレパンダ以外はみんな料理が上手ってことね」


「杏花、あの二人、俺が調理担当、巧が運ぶのか。何人か手伝い呼ばないと五人じゃ無理」

 そう、作るのは完璧なんだけど、注文をとって、運んで、会計まで担当するのはいくらタレパンダが雑用が得意だからって無理だと思うのよね。
それさえ解決できれば最高なんだけどなぁ……

「それなら僕に案があるよ」

 珍しくタレパンダに思いつくことがあるようだ。

「瀬尾さんに手伝ってもらえばいいんじゃないかな?学園の生徒ならバイト代みたいなのを払わなきゃいけないし、仕事を教えなきゃいけないけどさ、瀬尾さんならそ〜いうの完璧にできるじゃんか?」

 確かに、瀬尾さんなら一人で生徒十人分の働きは楽にこなしちゃうと思う。
それに、タレパンダの言うとおり瀬尾さんなら他の生徒のようにバイト代を払わなくていいわけだし。

「瀬尾さんなら大丈夫そう」

 橙希もそう言って賛成をした。

「じゃあ瀬尾さんに頼むわ」

 なんだか反則のような気もするけど、そんなことを気にしてちゃ何にもできないわね……
先生たちに瀬尾さんのことを聞かれたら人手不足と言えば事足りるだろう。
だってこの学園の人間は小さなことなんか全く気にしないんだから。


「歓迎会まではあと二週間あるわね。タレパンダ、明後日までに材料とか紙皿とかの注文をよろしく。もちろんできるだけ安くて、高品質なものを頼むわね」

 多くの利益は出したいけれど、クオリティは全く下げたくないもの。
欲張りかもしれないけど、そんなんじゃなきゃこの学園の生徒会長は絶対にやってられないわよ。

「オーケー、放課後に何をどれだけ頼めばいいか聞くから適当に決めといて」

「わかった」
「わかったわ」

 私と橙希はほぼ同時に頷き返事をした。

「もうそろそろ朝のHRだから終わりにするわよ、次は昼休みにここに来て。あの二人も呼んでおくわ」

 時計を見ればHR開始十分前だったから止めにしなきゃね。
この学園の先生は細かいことは気にしないくせに遅刻とか欠席に関してはうるさい。
まぁそれは単位に関わるからなんだろうけどね。
それに生徒会の私たちが遅れていたら他の生徒に何も言えなくなっちゃうじゃない。

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