無理になるもんじゃねえだろ(1/27)
強引に決められたわけで、まあいいかと諦めた。
「このあと、各委員会集まりあるからよろしくね」
HRが終わって、委員会に行く人以外はそそくさと帰り支度をして教室から出て行く。
「俺たちも行こっか」
振り向いた中山は満面の笑みで、俺に話しかけカバンを手に取り立ち上がった。
呆然と見てたら、俺のカバンを奪って行った。
は、ちょっと待て。
慌てて中山を追いかける。
「カバン返せ!」
あの中に、大事なもんがあるのに。
なのに、次の一言で最悪になる。
「取れるもんならどうぞー」
俺に見向きもせず、俺のカバンをヒラつかせたまま俺より遥か遠くに行く。
「ざ、けんな……!」
喘息持ちだから走れねえんだよ。クソが。
なるべく早く取り返したくて早足になるが、息がうまく吸えなくなり廊下で蹲った。
また、かよ。
カバンにはステロイド薬が……。吸引器だって。
発作だって、いつも突然なんだ。
「…………とっしー、ゆうやのカバンの返して!」
聞きなれた声がすると思ったら、なおだ。
「ねえ、ふざけてると本気で怒るよ」
いつものなおとは違うドス黒い声でそう言った。