四月バカ
[馬鹿4](1/1)


「さて、あとは律だけだな」

俺……もう何が起きても驚かない気がする。

「みんな、忘れてない?今日は何の日か」
「……いや?」
「今日は僕の誕生日だよ!?」

……いや、確かにそうだけどさ!

「そういうことで、はい!」

律がテーブルに出したのは4つのケーキ。

……3人が唾を飲んだ。

「大丈夫!普通のケーキだから!それに、買ったのは僕のおばあちゃんだから」

……そこは自分が買ったって言ってくれよ。

「食べないわけ、ないよね?」

圧力が俺達に重くのしかかる。

その時、和真が思い切って一口食べた。

「和真!?」

和真はぐっと目を閉じて、一気に飲み込んだ。……しかし、何も起きない。

「あれ?」

その反応を見て、俺と良介も一口。……やっぱり、何も起きない。

「だから言ったじゃん。普通のケーキだって」
「でも今日だからさ、嘘かなって思って」


「……はい!てことで僕の勝ち!」


……はぁ?

「嘘雑ッ!」
「いやいや、本当のことだよ」

まさかの勝利宣言に、俺達は首をかしげた。

「あれ?もしかして、わかってないのかな?」

律が馬鹿にするように笑った。 

「納得できない」
「なら、種明かし、してあげるよ」

そう言って、律はとある絵本を持ってきた。


- 15 -

前n[*][#]次n
/17 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]