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ピーターパン・シンドローム







「もう3次元には飽きた!」

「………は?」


そんなバカなことを言った高2の春。

それを真横で聞いた真梨は口をポカンと開けて固まった。



「やー…だからさ。もう現実(リアル)に飽きたっていうか、何ていうか、うーん…」


古〇任三郎のように顎に手を当てて考えているといい単語を思い出す。



「ピーターパン・シンドローム?」

「何で疑問系よ…」


言ってみればしっくりこず無意識に疑問系になってしまう。
てゆうかピーターパン・シンドロームの意味って現実逃避だよね?



「ピーターパン・シンドロームじゃないと思うよ。」


思考を巡らせて必死で考えていると真梨にバサリと切られる。



「え、違うの?」

「ピーターパン・シンドロームってね、童話のピーターパンから捩ってるらしくて、成長を拒否する心理を指すんだって。」

「へー…


…………で?」


「『で?』って何よ。」


「だから…結局はどういうこと?」


にこり、と笑いながら訊ねれば真梨は盛大なため息を吐く。




「空(クウ)、あんたのはね…ただの現実逃避。」


「あ、そうなんだ。」


「納得。」と開いた左手に握った右手をポンッと乗せる。


だから、と真梨は続ける。

「空、戻ってきなさい。大丈夫、さっきの発言は聞かなかったことにするから。」


真梨が真剣な顔で言ってくるから剣幕に押されてコクリと頷いてしまった私に真梨はニコリと笑って、よし と言う。


3次元も捨てたもんじゃないと思えた今日この日だった。








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