D - f o e


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君にを囁く奴は
      誰ですか?






─ ああ、やっぱり可愛い。



俺の視線の先には微笑む君。
普段無表情な君が微笑むと凄く綺麗で、


─ …可愛い。



彼女は休み時間になるとケータイを開いて何やら操作して微笑む。
彼氏もいるのだろうメールを見て微笑んでいるのか幸せそうだ。

俺に向けられたものではないから少し悲しいが俺はそれを見て和む。


「なーに、ニヤニヤ笑ってんだよ気持ち悪い。」


…いや、ニヤける。


「ニヤけてねぇよ。」


冷めた声で笑い、軽くあしらう。


…が、

「嘘つくなってー」


と小突いてくるこのしつこいヤツは俺の親友。
邪険に扱うわけにもいかず、小さくため息を吐けば


「告れば?」


軽い調子で奴は言う。


「んー…。




…うん?

む、むり!!
無理無理無理無理無理むがっ…」


「五月蝿い。」


コイツにしては冷めた声でそう言われ、口を手で塞がれる。


それにしても、


─ 苦しい。


コイツ、口だけじゃなくて鼻まで押さえてやがる。


─ 俺…死ぬのか…。


なんて、バカなことを考えていると"ヤツ"は気付いたのか「あ、ごめん。」と言って手を離した。


そして、ふざけたことを言い出す。


「俺さー、あいつのケータイ見たことあんだよなー」


その言葉に俺の体はピクリと反応するが、



─ 平常心平常心。
  …耐えろ、俺。


「そ、れが、どうした?」



ちょっと詰まったが大丈夫だ。
鼻声ってことにしておこう。


「お?動じないねー。」

そう言ってケラケラと笑う"ヤツ"。


「あ、当たり前だろー。」


笑い飛ばす俺。

んなわけねーだろ
コイツ ば…


「顔、ひきつってるけどね。」


かじゃなかった…。


「ま、頑張ってよ。」


ニヤリと笑って肩をポンポンと叩かれる。

─ 何なんだヤツは。

小さくため息を吐くと、チャイムが鳴り俺の至福の時間が終わる。


授業中もやっぱりケータイの画面を見つめて微笑む君のことを考える。



─ 君に愛を囁く奴は誰ですか?







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