[溢れる思い出たち](1/15)
中には本らしきものや小袋に入った何か、そしてベージュの袋などが入っている
この時点では、どれが何で誰のものかは分からない
「この中に手紙をまとめて入れたんだよね。とりあえず配っていくから該当者は取りに来て。まず……これに見覚えある人!」
最初にぶっちょが取り出したのはベージュの袋と赤い表紙の小さなノートだ
名前は書いていないが、裏表紙には稚拙な文字で“サックスパート”と記されている
もはや該当者は1名しかいない
「これ、合奏の時使ってたノートなの!そうだ入れた入れた!」
「はい、元アルトのペラっち。それと……あ、あった!自分への手紙も」
袋の中から手紙を探し、ペラっちにノートとともに渡す
渡されたものを手に、彼女は目を細める
「次行くよ。これは……って名前書いてるから聞く必要ないか。これは姐さんの」
「わー!!懐かしい!!」
姐さんが入れていたのはハート型の手作りのお守りだ
これは中学校最後のコンクールの時に、彼女が部員全員と先生に作ってくれたものである
黄色いハートの中心に一人ひとりの名前がオレンジの糸で刺繍されており、みんなバッグに付けていた
私もこれはまだ持っている
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