バイオバザード2035 THE END
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「その、リーガル社ってのも余裕はねえはずだ。物資も人員も限りがあるだろ。ましてこんな有様だ。」

鼻くそをほじくりながらそう言ったのは那須だ。テーブルに足を投げ出し、不味そうにコーヒーを飲んでいる。

「そう思いたいが、連中の規模は底が知れん。こうなる事も想定済だったろう。となればそれなりに準備は整えていたと考えるべきだ。」

アンナがフラットな口調で答えた。

「今だってあちこちに拠点を持ってますしね。我々は完全に押されてます。」 

 バッグに医療品を詰め込みながらベルが言った。

「むしろ勢力は増してるんじゃない?」

西山の隣に座って嬉しそうなヒルダが言った。

「戦力比は1:5。普通にやったら勝ち目はないわね。だからこんな風にゲリラ戦術や奇襲しか今は使えない。毎日が大博打よね。」

狙撃銃を磨きながら言ったのは長澤だ。ふと西山に目をやると、隣のヒルダがやたらとスキンシップをしてくるせいか、顔を真っ赤にして固まっている。

道理で黙ってるわけだ。

思わずクスクス笑う長澤を不思議そうに見ていた美由紀だが、すぐにその理由が分かり、口を押さえて笑いを堪えた。

 旧式のC-130輸送機の操縦桿を握るのは、サイトーとラッセン大佐である。とはいえオートパイロットに設定してあるから、2人がやる事はほとんどない。漆黒に沈む空間を眺めていても、眠気しか得るものはなかった。









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