バイオバザード2035 THE END
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感染者との戦闘は、慣れた者からすればさほど困難ではない。それは美由紀や西山が身をもって示していた。

いいかしら?よく聞いてね?感染者ってのは、基本武器は使わない。噛み付いたり引っ掻いたりが主よ。」

美由紀はそう言って一同を見回した。ブリーフィングルームには50人からの男女が座っていた。皆兵士である。感染者との戦闘を未経験の者がほとんどであった。

「連中は1度死んだ後に蘇生するの。信じらんないよね?ウィルスの影響なの。ウィルスが体内に入ると、正常な細胞を破壊して取り込んでしまうわ。そして新たに細胞を形成して、死人を蘇生させるわけ。」

美由紀は資料を片手にホワイトボードにマジックでイラストを描いていく。我ながら絵心の無さに呆れていた。

「厄介なのは、蘇生した連中がパワーアップするってこと。特に握力と腕力。掴まれてしまうと振り解くのは簡単じゃないわ。」

美由紀の身振り手振りを交えての話に、兵士達は頷いたりメモを取りながら真剣に話を聞いていた。が、やはり中には講師をバカにするような態度の者も少なからずいた。美由紀の様な若い女性で、しかも日本人に教わる事などないと言いたげな。

「なあ、ネエちゃんよ。その怪物どもは、そんなにすげぇのか?」

1人の兵士が、ヘラヘラ笑いながら手を挙げた。若い白人の兵士だ。かなり大柄で筋肉質。金髪は短く刈り込まれ、見た目だけなら屈強な海兵隊に見えなくもない。

ええ。そうね。動きも素早いし疲れを知らない。一対一でも油断ならない強敵よ。」

美由紀は少しムッとしながら答えた。この若い兵士は美由紀を舐めてかかっていた。こんな小娘の言うことなど聞いていられるかと言わんばかりだ。美由紀を挑発しているのは明らかだった。

「へぇ、そいつはすげぇや。そんならこれからは俺達が守ってやるぜ?なぁに、大ゲサに吹いてるだけさ。こっちにゃ銃がある。ハチの巣にしてやろうじゃねぇか!なぁ!?」

そう言うと若い兵士と周りにいた数人の兵士達がゲラゲラ笑い出した。雄叫びを上げる者もいた。

美由紀は頭を左右に振り、ため息をついた。自分が国連軍に参加する様になってから、こうした光景は嫌と言うほど見てきた。

黙って何も言わない美由紀を見兼ねたのか、部屋の外で様子を見ていたコマチがいきなり部屋へ入ってきた。







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