お兄ちゃん、だめ…

*[お兄ちゃんへ](1/3)

拝啓、親愛なるお兄ちゃんへ。


お兄ちゃん、そちらの生活はどうですか?
少しは慣れてきたところでしょうか。

あれからーー
お兄ちゃんが捕まってからもう二ヶ月が経ったのですね。
あんなにテレビのワイドショーを賑わせたお兄ちゃんの猟奇殺人事件もやっと影を薄め始めたころです。

さてお兄ちゃん、今回私があなたに手紙を書いているのは、二つあなたに報告することがあるからです。


一つ目は、お父さんとお母さんが自殺したことです。
それはもう警察の人から聞いてるかもしれません。
でも一応報告しておきます。

父と母が自殺した動機としては
我が家に対する嫌がらせの数々に耐えることが出来なかったこと。
もう二度と前のような社会的な生活を送っていくことが出来ないと自覚したからだと思います。
もちろん加害者の両親としての罪悪感に耐えられなかったというのも大きな理由の一つだとは思いますが。

それほどあの事件は社会を騒がせ、私達が普通に生活することさえ出来なくしたのです。
よって父と母はあなたが殺したも同然です。

しかし一部にはお兄ちゃんを神のように崇める馬鹿者まで現れた始末でした。
お兄ちゃんが神などと崇められる存在な者かと笑ってしまいます。

まあ、現在の情報社会のように誰でも簡単に情報を知りえる時代では、
このようにメディアやネットからの情報に影響を受けやすくなってしまう輩が出て来てしまうのも仕方がないことなのかもしれませんね。

そういう意味ではお兄ちゃんは社会に少なからず影響を与えたのですね。
それって本当はすごいことなのかもしれません。



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