お兄ちゃん、だめ…

*[本当は私‥](1/11)

「未央‥。渚が」


「…うん」

お兄ちゃんも学校の先生か友達から聞いたのだろう。

お兄ちゃんの鼻が少し赤くなっていた。寝不足なせいもあるかも知れないが目も赤い。
もしかして泣いたの…?

お兄ちゃんは続ける。

「…なんで渚が‥!」

声だって震えていて。





だけど、私はそれが演技かかった芝居にしか見えなかった。


私はお兄ちゃんをじっと見つめながら尋ねる。

「渚を、家まで送っていったの?」

「あぁ」

「でも、お兄ちゃんは朝方帰ってきたじゃない。渚とどこかに行ってたんじゃないの?…そういうことも含めて私達は警察に説明しなきゃいけない。ね、だから今から警察に行こうよ、お兄ちゃん」

「え……」




お兄ちゃんの瞳が動揺して揺れたのを私は見逃さなかった。




- 40 -

前n[*][#]次n

/65 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]