お兄ちゃん、だめ…

*[いいね、その泣き顔。](1/5)

しばらく呆然としていた私だが、リビングからお兄ちゃんが私を呼ぶ声がして、息をのんだ。

ああ、
お兄ちゃんの元に行きたくない。
だけど行かなくちゃ…。

私は無理やり立ち上がると、お兄ちゃんと渚の元へ急いだ。


「あ、未央遅いよぅー」
「ごめん、ごめん」

渚の隣に腰掛け、私もミルクティーに口を付ける。

…お兄ちゃんの顔が見れない。

「これ、なんていう果物ー?」

「あぁ。これは、ザクロって言うんだよ」

「そうなんだぁ。熟れてて美味しいね」

「そう。良かった」


楽しそうに話す2人を横目に私もザクロに手を伸ばした。


「なぁ、2人と知ってるか?」

「何を、ですかぁ?」

渚がお兄ちゃんの問いに可愛いく首を傾げながら尋ねる。

そんな渚に微笑みながら、お兄ちゃんが口を開いた。

「ザクロの噂話」

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