冷の彷徨
[プロローグ](1/1)
高校生の春もすぎ、もう夏になろうとしていた、俺はその時に初めてソレに触れた。

 ソレは人の容姿をしていて、見た目は普通の少女だった。
 しかし彼女はとても冷たかった、まるで体温という概念が存在しないかのように。

 彼女の名は呼九尾彩葉(こくびいろは)。
 彼女が人と違うのは体温だけではなかった、体重という概念すらも存在しないような軽さ、なにより彼女は俺以外の人に触れることができないのだ。

 しかし彼女はおかしくない、体重も体温もなくて当然な存在だ。

 彼女、呼九尾彩葉は人ではない・・・幽霊だ。

 そしておかしいのはむしろ俺、五光未吉(ごこうみよし)の方だ。

 俺は幽霊が鮮明に見える、それだけでは霊感の強い人で終わっていただろう。
しかし俺は幽霊に触れることができる。
元死神の力を借りて。


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