逃げないと犯される
[9日目 潜入開始](1/22)

虎太郎「なるほどな。スナイパーまで現れたのか。奴らも相当焦ってきてんだろうな」

渋谷君の肩の方を包帯でグルグル巻にしながら虎太郎は2人に起こった出来事を聞いていた。
私達も相当えぐいことをしてきたつもりだけど、渋谷君達もかなりやらかしている。普通、ファミレスや橋を爆破しようとか考えるだろうか?
いや、絶対に考えない。彼が特殊というか、変人なだけである。
でも変人だとは言っても、私の隣にいる人はもっと変人なんだけどね。
高いところから私を落とすなんて信じられない。

風香「それでも、ここまで2人でよく来たね。美希もよく頑張ったよ」

美希「ありがとう。実の所、貨物駅の所で私達捕まった時はもうダメかと思ったよ」

「だからって美希さん。普通タンクを落とそうとか考えますか?俺、危うく死ぬところだったんですよ」

美希「あら?ファミレスや橋を爆破していて人のこと言えるの?」

「俺は自分達の安全を考慮した上で・・・いった!」

言い訳をし始めた渋谷君に対して、美希は脇腹をつんつんとついた。そこも怪我をしていたのだろう。彼は渋いに顔をする。

美希「目糞鼻糞だよ。あんまりしつこいと、もっと傷口をつつくから」

「美希さん、それはマジで切れますんでやめてもらえますか?」

美希「それは誠君が屁理屈言わなかったらね」

「テメェ、身体が治ったら覚えとけよ」

風香「ふふふ」

美希「どした?風香」

風香「いや、なんかね、2人とも見てないうちにかなり距離感が縮まってたから」

虎太郎「確かにな。お互い下の名前で呼びあってるし、これはカップル成立かな?」

「何言ってんですか。こんな無駄に脂肪蓄えてる奴と付き合うわけないじゃないですか」

美希「ひどい!やっぱあの時助けなければよかった!」

「なんでしたっけ?『もうこれ以上、私の前で・・・』」

美希「わー!わー!やめて!恥ずかしいからー!」

私たちに比べて、相当怪我をしていたけど、2人とも元気そうで何よりだった。それに、2人の距離も近くなったし。これはこれで良かったのかもしれないと私は密かに思っていたのだった。






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