バイオハザード 〜MIYUKI〜
[プロローグ](1/1)
 私の名は「古賀美由紀」。二十四歳。国連軍第一遊撃隊に所属。
 
 世界的に蔓延した「死のウイルス」は、生きている人間も死んでいる人間も、分け隔てなく蝕んだ。死者は蘇り生者を襲った。襲われた人間も、すぐに連中の仲間入りを果たし、被害はあっという間に拡大した。

 政府は無策だった。それは日本に限った事ではなかった。刻一刻と悪化する状況を、ただ眺めているだけだった。

 混乱は混乱を呼び、やがてそれが収まると、そこには誰もいなくなった。死してなお現世をさ迷う憐れな犠牲者を除いて。

 当時私は十七歳。花の女子高生だった。そんな私が、この混乱をなぜ生き延びる事が出来たのか。それを話そうと思う。
 現在、西暦・・・ええと、2042年の8月。哨戒中の海兵隊のヘリの中より。眼下には廃墟と化した、かつての首都東京。地上を闊歩するのは感染者達。今や首都は彼等の支配下にある。お台場も、新宿も、秋葉原も、どこへ行ってもいるのは彼等だけ。もはや見慣れた光景だ。

 これから語る物語は絵空事ではないし、売れない小説家が起死回生を狙った渾身の作品でもない。全て事実なのだ。現在進行形の、行き着く先の見えない、れっきとした現実なのだ。それを心して聞いて欲しい。

では、始めましょう・・





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