バイオハザード 〜MIYUKI〜
[エスケープ](1/9)
会議室に立て篭もる面々は、明らかにイラついていた。最初こそ、恐怖と混乱が脳を支配していたが、気持ちが落ち着いてくると、少しだが余裕が生まれてきた。余裕が生まれるということは、それまで入り込む余地がなかった思いが、少しずつ精神を侵食していくということだ。

川本と美由紀が、部屋を出てから、もう三十分近く経過したというのに、まだその行動に、非難を唱える者がいた。

「全く・・・彼女には教師としての自覚がないんだ。様子もわからないというのに、外へ出るなんて。皆を危険に晒すだけだ。全く!」

深沢は、腕組みをして、これ以上ないくらいに、顔を歪めて、不機嫌そうにそう言った。そして、同意を求める様に、皆を見回したが、誰も応える者はいなかった。

深沢は、あからさまに舌打ちをすると、どっかと腰を下ろし、しかめっ面で、ブツブツ言っている。

相田裕子は、皆と離れた場所に座り、深沢や他の生徒達の様子を、ぼんやりと眺めていた。生徒達は、数人でグループを作り、顔を寄せ合って、ヒソヒソ話をしている。泣きじゃくる女子もいるし、繋がらない携帯に、悪態をつく男子もいる。

裕子も携帯を取り出し、登録してある電話帳のページをタップすると、指でスライドさせたが、途中で止めてしまった。どうせ、どこにも繋がらない。気持ちを不安定にさせるだけだ。

はぁっとため息をつくと、裕子は壁に背中を預け、大きく伸びをした。




(閲覧:406)
- 18 -

前n[*][#]次n
/50 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]