バイオハザード 〜MIYUKI〜
[デイ・オブ・ザ・ブラッド](1/10)
「起きなよお姉ちゃん!もう朝だっての!
・・・るっさいなぁ
「毎朝毎朝、なんでこんなに、だらしないのよ!起きろバカ姉ー!」
・・・うーん・・・バカでけっこう。この甘い時間が続くのなら、バカでもアホでも・・・
そう思った時、美由紀をくるんでいた布団は強引に剥ぎ取られ、彼女は思わず体を小さくした。
「目ェ覚ませ、この眠り姫!朝練あるんだろー!」
そこで美由紀は、ようやく観念して、ゆっくり体を起こした。ボサボサになった髪を右手でかき回しながら不機嫌そうな表情で、二歳年下の妹を見やり、次いで枕元のデジタル時計を見た。
「・・・・・・え?」
短く言って美由紀が一瞬体を硬直させた。
「ちょ・・・なによ!?もうこんな時間!?信じらんない!」
朝練は七時十五分から始まる。現在六時五十分。学校までは自転車で約二十分。単純計算なら五分の余裕があるが、一分遅れたから、到着も一分遅れるだけで済むという理屈は、実際には有り得ない。
美由紀はベッドからすごい速さで飛び起き、着ていたスウェットの上下を脱ぎ捨て、制服に着替えた。ここまで約一分半。通学用のショルダーバッグを乱暴につかみ、部屋を飛び出した。
「ちょっとバカ姉!ケータイ!」
既に階段を降りきっていた美由紀は、「くそっ」と小さく舌打ちをして階段をかけ上る。妹の手からケータイをひったくると、再び階段を下りていく。
ダダダダというフローリングを蹴る音に次いで、バタン!と乱暴に玄関ドアを閉める音。どうやら美由紀は無事に出発したようだ。
そんな姉とは対照的に余裕を持って、ゆっくりと階段を下りてきた妹。と、そこに困った表情で玄関の方を見ている母親がいた。
「お母さん?どうした?」
「あ、菜月。それがね、美由紀ったら、お弁当忘れて行っちゃったのよ〜。」
そう言ってコロコロと笑うのんきな母親を見て、「今日も平和だなぁ」と菜月は思った。
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