調教師の夜V
[愛のゆくままに……](1/41)

『莉奈さん!愛理さん見なかったですか?』


穂乃香は、廊下を歩いていた莉奈に駆け寄って来て、切羽つまった様子で問いかけた。


『えっ?愛理ちゃんなら、部屋じゃないの?』


『いえ、キッチンでケーキ作るとこだったみたいで、材料出しっぱなしだし、冷蔵庫も開けっ放しになってて……』


『……変ね…。翔磨さんに知らせるから、屋敷を探してくれる?』


『は、はい!』


穂乃香は、パタパタと駆けていく。


莉奈は、急いで翔磨に知らせた。


翔磨の部屋には、海里も一緒だったため、一瞬迷ったが、意を決意して翔磨に言った。


『愛理ちゃんが、いなくなったみたいで…。ひょっとしたら、また……』


莉奈が話し始めた時、コンコンとノックする音がして、伊吹が顔を出した。


『翔磨、ちょっといいか?』


『何だ?』


『いや…今、屋敷から電話があって、毬乃がうちを訪ねて来たらしい。多分、オレ達がここにいるのがわかったかと……』


『……毬乃か?……』


海里は、表情を強ばらせて伊吹を見た。


『どうかしたのか?』


『愛理がいなくなった』


伊吹の問いに、すかさず翔磨が答える。


『悪いが、今回はオレじゃないぞ?』


『それは、わかっている。とにかく、今は愛理を探す事が先決だな。メイド達に聞き込みと、部屋を全部探すんだ!』


翔磨の掛け声で、莉奈達は、愛理を探して回った。







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