調教師の夜V
[罰](1/7)

『全て整ったが?海里』



翔磨は、パタンと本を閉じて机の上に置いた。


『あぁ』


『少しは手加減しろよ。一応、安城家のご令嬢だ』


『何を今更。オレから愛理を奪った罪は大きい。罰はしっかり受けてもらう。翔磨、早急に手配しろ』


『あぁ。…しかし、お前…変わったな。たかが、女一人のために、ここまでするとはね』


翔磨は、海里を見ながらフッと笑うと、海里はばつ悪そうに翔磨から目を離した。


愛理がいなくなってからというもの、熟睡出来ないでいた海里は、ため息の回数が増え、イライラもピークに達していた。


毬乃が何か知っていると察した海里は、毬乃から聞き出すための準備で、今日までかかってしまった。


安城家のご令嬢という事もあり、慎重に事を運ばせる必要がある。


そのためには、どうしても婚約しなければならなかった。




今、どこで何してるんだ……愛理……。




こんなふうに、自分が誰かを心配するなんて思ってもなかった。


それが、女だなんて、以前の海里からしたら有り得ない事だった。


それに……。


愛理には手を出さないと言ったのは毬乃だ。



それを破った罪は重い…。


このオレを怒らせた事は、誤算だったか?



『今夜は、もう寝る』


海里は立ち上がって、翔磨の部屋を出た。







- 112 -

前n[*][#]次n
/257 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]