調教師の夜V
[婚約パーティー](1/12)
次の日のお昼。
あたしと伊吹さんは正装をして、時間になるまで待っていた。
『うん。愛理だとはわからないな(笑)』
『はい!すごく綺麗ですわ!』
2人に、誉められてるんだかけなされてるんだか、
よくわからない。
女って、メイクとヘアーでまるで別人になれるものなんだって、改めてそう感じた。
これなら、翔磨さんや海里さんにばれる事はないはず!
あたしは、鏡に映った自分の姿を見て頷く。
フゥ…とため息をついて、心を少しでも落ち着かせようとした。
もうすぐ、海里さんに会えるんだ。
本当のところ、海里さんを見たあたしがどうするのか…自分でも想像つかないんだ。
平気でいられるのかな…。
会って話せるのかな…。
最後までは抱かれていないけど………あたしは、前の体じゃなくなった………。
海里さんは……そんなあたしを受け入れてくれるんだろうか………。
それでも、まだ必要だって思ってくれるのかな…。
できるなら……。
何もなかったあの日に戻りたいよ……。
海里さんの隣で生活していたあの日に…………。
大好きな人の腕の中に……。
もぅ……それさえ………叶わないかもしれないけど………。
『愛理、そろそろ行くぞ』
ドキッ……。
うわっ、あたし、すごく緊張してるし……。
伊吹さんに声をかけられただけなのに、体中が心臓になったみたいに、ドキドキしてる。
あたしは、深呼吸をして、伊吹さんにエスコートをまかせ、車に乗り込んだ。
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