一TO十 ふたりの教育者
♯[歪み](1/7)
異変と同じくして何かが歪み出し豹那を襲う。不安に苛まれる彼女に光が射した。
シャワー室に入ってきたのは狸霧だった。
タオルを巻いて戦闘体制をとっている豹那に、訝しげな顔をしている。


「何かありんしたか?」

「い...いえ...」


ただでさえ今朝の一件で迷惑をかけたのだ。
これ以上、何も言わない狸霧の優しさに甘えるわけにもいかず首を横に振った。
しかし、伊達に心理学を専攻しているわけではない。
狸霧は豹那の細かな動作から異変を感じ取った。


「嘘はおよしなんし。
あんさん、震えとりんす」


そう言われて、豹那ははっとした。


怖くて、気持ち悪かった。
あの視線が。


「わっちは、ここにおりんす。
あんさんの、味方でありんす」


その言葉に、豹那は酷く安心したような、泣きそうな...。

例えるならば、暗闇に閉じ込められていた子供が親に救い出されたような、彼女らしくない幼くも複雑な表情だった。

力が抜けたのか、膝を折りゆっくり座り込んでいく。


そのまま、倒れた。




「豹那はん!?」








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