一TO十 ふたりの教育者
#[波紋](1/15)
小さなひびが、波紋を呼び大きな亀裂を生む。
猛者達に、何かが迫る。
「てっめぇ…!」
中森が岳山の胸倉をつかみ上げ、射殺さんとばかりに睨み付ける
聖は、狸霧に介抱されている豹那に駆け寄った
「お姉ちゃん…!
嗚呼、お姉ちゃん…!!」
「っ…」
豹那は、言葉を発しなかった
埒があかないと、葉実は岳山を落ち着かせるように話し掛ける
「岳山さん…
東海林さんに、なにが…?」
「あ゛ぁ!?」
「っ…!」
「岳山君は興奮しすぎだよ
俺がかわりに説明する」
岳山に怒鳴られ畏縮する葉実を宥め、朱崎が切り出した
「…昨晩、東海林君が何者かに襲われたようだ
怪我はしていないんだけどね
どうやら眉間にボールが叩き込まれ脳震盪を起こしたらしい」
顎に手を添え、朱崎は語る
東海林は、聖イレウスの要と呼ばれる存在だ
聖イレウス随一のテクニックを持っており、実力も折り紙付き
尚且つ身軽で動きも素早い
そんな東海林の眉間にボールを叩き込むのは、極めて困難だ
偶然にしても、東海林が避けきれないスピードを持っていたはず
そして、脳震盪を起こすほどのパワー
その二つを兼ね揃えている者は少ない
それこそ、御剣や西垣などの四神クラスだ
「っで、ですが…!
豹那さんが、その様なことをするなど…
何か証拠でも…」
「夕日の空のような輝く髪」
朱崎が漏らした隻語が、葉実に衝撃を与える
「…そんな髪をしていたそうだ、東海林君を襲った奴は…」
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