駆け込み探偵
[今回の始末](1/7)
「片付けは順調?」

その声に振り返ると、秋山さんが後ろに立っていた。

「はい。あまり私物を持ってくる方ではなかったので、持って帰る荷物は少なさそうです。」

俺の言葉に秋山さんは悲し気に言った。

「そっか…寂しくなるね」


成田空港での一件で、俺は偽計業務妨害、威力業務妨害等の疑いで現場に駆け付けた警察官に逮捕された。
その際に荷物検査や乗客の身の安全等で飛行機は欠航になった。
しかし誰かがマスコミに今回の航空機B-19265の事をリークしたお陰で、スカイ航空に家宅捜査が入り、今回の事件が明るみになった。
その後スカイ航空は、謝罪会見を開き社長や役員が総入れ替えとなった。
後で知った話だが、副社長の風見泰久は会社の金横領の罪で逮捕されたらしい。
出来るエリートサラリーマンと言った印象だっただけに、意外だった。

それもあってか、俺は正式な罪に問われることはなく、懲戒免職はなんとか免れた。
しかし大きな騒ぎとなってしまった今回の事件の発端のような俺は、世間の注目を浴びてしまった為、停職にすることは出来ず依願退職する形になった。
刑事課への推薦も取り消され、警察官という仕事も辞めなければいけなくなったが、不思議と後悔はしていなかった。


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