駆け込み探偵
[決断](1/15)
窓から明るく照り付けた日差しは白いカーテンに反射し、明るい部屋の中をより一層明るくしている。
広い個室の病室にはテレビやクローゼットが置かれ、快適に過ごせるように事細かな配慮がされていた。
その病室のベッドに周治はいた。
久しぶりに見る友達の顔は昔と変わらず、優しそうでおっとりとした雰囲気のままだ。
普通であれば再開を喜び、積もる話をとめどなくするだろう。
そうする筈だった。
周治に会ったら聞きたいことや話したい事がたくさんあった。
なのに…

久しぶり会った周治は俺の方を見ることもなく、静かに眠っていた。

周治の体には多数の医療器具が取り付けられていた。
顔には人工呼吸器を付け、腕には点滴がいくつも繋がれ、近くには心電図モニターが置かれている。
近くに行って周治の様子を見ると怪我や傷の後は全くなく、本当にただ眠っているだけのように見える。
周治の肩を軽く揺すりながら呼びかけてみるが反応はなかった。
不思議と涙は出ない。
ホテルでこの話を聞いた時はショックで胸が押しつぶされる思いだったが、今は落ち着いている。
自分でもなぜこんなにも冷静でいるのかわからなかった。


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