駆け込み探偵
[親友の伝えたかった事](1/15)
3人揃った所で熊耳さんは側で半分死んだ様な目をしてパンを食べている内山さんに声をかけた。
「直哉〜昨日頼んでおいたやつ出来た?」
そう声をかけられた内山さんはギロリと熊耳さんを睨むと苛立ちながら返答した。
「ちゃんと作っといた。ってかこんな機材も何も無い様な所でそれも半日で作れとか鬼畜以外の何者でもないだろ。次は絶対ないからな。」
そう言うと企画書の様な冊子と3人分の名刺を渡された。
名刺には俺たちの名前では無い架空の人物の名前が書かれていた。
「航空機部品を主に手掛ける平塚航空機器株式会社。
今回は炭素繊維を用いて作成した航空機の主翼部品リーディングエッジリブの売り込み。
炭素繊維を用いる事で軽量化された部品の大量生産をする新しい工場の設立を目指して資金確保に回っている。
後は適当に付け加えといて。」
そう簡単に熊耳さんに説明していた。
企画書を除きこむと丁寧にわかりやすく作成され、とても急いで作ったとは思えない様な仕上がりだった。
「流石直哉。ホームページの方は?」
「ホームページも簡単に作っておいた。
記載した住所に実際に来られたりしない限りはバレないと思う。」
そこまで言うと内山さんはゴロンとベッドに横になった。
「流石に睡眠時間少なすぎて死にそう…
ちょっと仮眠とるから後はよろしく。」
そう言って布団にくるまると数分と経たずに寝息を立て始めた。
じっくりと企画書に目を通していた熊耳さんは
「よしっ」
と小さく言うと冊子を閉じてこちらに目を向けた。
「じゃぁそろそろ行こうか。」
そう言うと冊子を鞄にしまい、姿勢を正して歩き出した。
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