○[真っ黒の世界](1/15)
あれから長い、長い1年が経った。
今日は優生の命日で私は久し振りに地元へと戻ってきた。
お花を持ち寒さをこらえながらお墓の前まで来ると、私の参加しなかった昨日の法事で供えられたであろうお花が綺麗に咲いていた。
手に持っていたお花を供えると手を合わせた。
「会いに来たよ。優生……」
冷たい墓石に触れた。
「もう1年だって、早いね」
涙をこらえようと空を見上げると雪がちらつき始めた。
雪が降るくらいなんだから、そりゃあ寒いはずだよね。
フードをすっぽりとかぶりお墓を後にしようとした時だった。
こちらに向かってくる人影に気がついた。
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