●[灰色](1/9)
私が優生の死を聞かされたのはバイトが終わった直後の電話だった。
優生のお母さんが泣きじゃくっていていたが、一瞬何もかもが私の中で止まって見えた。
もうこの世に優生はいない、そんなこと信じられるわけもなく私は変に冷静で、病院までの道のり涙は全く出なかった。
いつもの病室の前に行くとお母さんの泣き声が廊下まで響いていた。
病室の扉に手をかけて恐くなり手を引っ込めた。
もし優生に会えば現実になってしまう。
それがこわくて病室に入るのをためらい廊下の椅子へと座った。
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