ワールド・エンド (1/5)
長い、長い口付けだった。
崩壊していく世界の中で、その唇から伝わる体温だけが、唯一たしかなモノだった。
少なくとも、わたしはそう感じていた。
薄い唇が離れ、近くの足場が世界の崩壊に飲み込まれて崩れても、少しの間わたしたちはそのまま指を絡めて見つめ合っていた。
世界の象徴とも言える高い時計台が崩れ落ちたとき、わたしの目からやっと涙が零れ落ちた。
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