リトルバード
*[アンブレラ](1/3)
次の日からわたしはスケッチブックに何枚かのラフ画を描いた。

その内数枚をイオさんに選んでもらい、色鉛筆で色を軽くのせる。
色をのせたら一番自分のイメージに近いものを選んだ。そして今度は、その絵を元にキャンパスに線を取っていく。
徐々に姿を表す少女は、意識したわけではないがどこか自分に似ている。
初めは正直あんまり乗り気ではなかったテーマ。でも、それが今はこんなに楽しい。

絵の中の少女を小鳩と名付けた。意味などないけどなんとなく親しみを込めて。
幼い少女はまだうっすらと塗られた肌以外真っ白。


まだ真っ白な女の子。
わたしの分身、娘。小鳩。


うずくまるようにして小鳩は座っている。左右の耳に両手を押し当てて、目を閉じている。全身は打ちつける雨により、ずぶ濡れで、独りぼっちで凍えている。
でも、口は僅かに開いていて…
零れ落ちるのは僅かな…──…









──…僅かな、メロディー、微かな願い。

あなたの胸に、この歌が少しでも響きますように。

わたしと同じように──音を失い──傷ついたあなたに──




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