恋愛小説短編集

中城くんは口が悪い(8/8)
「責任取りますから」

呆れたような口調で言われて、一気に気持ちが沈んでいく。しゅんとした顔で前を向き、独り言のように呟いた。

「……好きとか言っておいて、罵らないでよ……」
「罵ったつもりはないですけど、厳しいこと言わないとあんたまたすぐ都合良く体許しちゃうだろ」
「……そんなことないもん……」

一応否定はするけれど、図星ではあった。がっくりと項垂れていると不意に肩を抱き寄せられ、彼と体が密着した。

「セフレがいるなら今すぐ切れよ。俺以外の男に触らせたくない」
「……っ!」

きゅんっ、て、胸が……不覚にもときめいてしまって、わたしは彼に体を寄せたままの状態でいる。

「い、いない、セフレなんて」
「この前のは?」
「もう、切れてる。聞いてたでしょ?彼女と結婚するから終わりだって言ってたの」
「……ならいいけど」

中城くんもわたしを離そうとはしない。それどころか手が肩から腰に移動してきて、さっきよりも体がぴったりとくっついている。

「……わたし、めんどくさいよ?」

そんなことを言い出したのは……わたしが、彼とのこの先を考え始めてしまっているから。

「知ってますけど?」
「……なんか勝手に尽くちゃうし、重いかも。お弁当作っちゃったりとか」
「いいですよ。そういう自分も好きなんでしょ」
「な、なんで、そういう言い方するの!」
「いいって言ってんだからいいだろ。そういうの含めて好きだって言ってんだよ」

ーーあぁ。言い方はキツいのに。

どうしてこの人、いちいちわたしの胸を熱くさせるんだろう。

「……重くない?」
「だから重くてもいいって。あとは?束縛激しいとか?」
「それは……そんなにだと思うけど」
「じゃあもうこの話は終わり。今日仕事終わったらうち来れます?」
「えっ……別に、用はないけど……」

わたしと顔を合わせた中城くんは、

「明日休みだし泊まっていってください。抱き倒すんで」

といつもの澄ました顔で言った。

「渋沢さんが今誰のものなのか、その体にわからせてやりますから」
「……!」

かぁっと顔を赤くさせたわたしに、彼はちゅっとキスをして、何事もなかったかのように「さ、仕事戻りますよ」と言って立ち上がる。

手を差し出されると、わたしはそれを握ってゆっくりと立ち上がった。


ーーどうやら、とんでもない人に捕まってしまったようで。

だけど嫌な気がしないどころか……嬉しくて、胸を高鳴らせているなんて。

わたしは、知らないうちにこの人に相当ハマってしまったみたいだ。




おわり



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