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――昨日の涼は、なんだったのかな……。
また、今日も、帰って来ない。
……なんだか、疲れた…。
あたしはなんなんだろう。
どうしたらいいんだろう。
理緒が眠りについた夜10時―…。窓を開けると昼間の熱さを忘れそうなヒンヤリとする夜風が部屋をすり抜ける。
気晴しに焚いたジャコウの香りが、風にのってあたしの体を撫でてく。
もう…考えるの、疲れた…。
「悪いことをすると、自分にもそれが帰ってくるんだよ」
……遠い昔に聞いたお母さんの言葉―。
あぁ…そういうことなんだ…。
あたしは、奥さんやおねぇちゃんから涼を取ったから…今度はあたしが取られる番なんだね…。
――未だ鳴らない携帯。
涙が溢れて目の前が滲んでいく…。
「………やだ………」
あたしは気付けば浴室にいて。
携帯は湯船の中で
気泡を上げながら
ユラリユラリ
ゆっくりと
沈んでいった――。
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