刃の部分がギザギザになっていて よく斬れそうで、思わず身がすくむ。 そんな私を横目に千影は何か吹っ切れたような顔をしながら、私の服を捲った。 外の空気に肌が晒される 感覚がして顔をしかめる。 「聖を殺して、俺も後から逝くよ」 そう言いながら彼は慣れた手つきで 私の心臓部分にピトリとナイフを当て、 上目遣いにこちらを睨んだ。 「いっ…、やだ…こわいっお願い!」 「大丈夫、怖くない。 寂しがることはないんだよ」 眉毛を垂らして言う彼の口調は さも哀しそうだが緩んだ口許を隠しきれていない。今の状況を待ってましたと言わんばかりの笑みだ。 「僕もすぐにイくから。待っててね」 「っいやだ…!!っあああ!」 冷たいナイフの感触に涙が滲み出る。 もう、どうしてこんなことになっているのか私には全く理解できない。頭が混乱して何も言えない見えない怖い。 「聖……」 「ぁ……ぁ、ゃ…、」 「愛してる」 ああ、さよなら私。 グサリと何かが体を貫くような感覚がして一気に神経が集中する。 私の、なにがいけなかった――…? そんなことは分からなかったが 一つだけ、まさに痛感した。 やはり彼は愛に、飢えていた――。 どこかの頭の隅でそう考えながら 私は永遠に意識を飛ばしたのであった ―― THE END |
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